完璧としか、いいようのない器
昨日はなんだか入っていたスケジュールに、いろいろ変更があって
なんだかまとまりのない一日になってしまいました。
まあ、そういう日もあるさ、と一喜一憂しなくなったところに
自分の老成を感じます。
青山一丁目での仕事を終えてから、
国立新美術館まで歩きました。
ぎりぎり最終入場に間に合い、
ルーシー・リー(Lucie Rie)展を見ることができました。
彼女はウィーン出身の陶芸家
器好きとあれば、必ずチェックしておきたい作家さんです。
絵画とは違って、器ものなので展示スペース自体は広くありませんが
それでもスクリーンやパネル写真、
彼女の直筆ノートや手紙なども展示されていて、
主催者側の愛情を感じる展示だったと思います。
そして、彼女が作りだした器の、
完璧としか言いようがないフォルムと色合いに
ただただため息をつくしかありませんでした。
以前少しだけ、陶芸をかじったことがあるので
それが決して楽な作業ではないことを知っています。
しかし、窯から取り出すときの、出来上がりを目にするときの
高揚感は、よくわかります。
東洋的な影響についてはあまり触れられていませんでしたが、
私は個人的に、韓国の李朝の器に近い世界を見出します。
余計なものをそぎ落とし、計算された部分と
窯の火のマジックにゆだねる部分
それらが絶妙なバランスで、彼女にしか出せない品々となっているのでしょう
彼女の器の色彩に
私自身、絵の着想を得ました。
ルーシー・リー自身は戦争でウィーンからロンドンへ亡命し、
死ぬまでそこで創作をし続けていましたが
私の中では、分離派やフンデルト・ヴァッサーに並んで
ウィーンというキーワードでくくられます。
ウィーンをテーマにして、一連の作品を作ってみたいです。
by nomadmurasaki | 2010-04-29 20:16 | お出かけ